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No.3351生まれ変わったセリーヌ

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夫の影響から解放され生まれ変わったセリーヌ様に乾杯
2019年12月11日(水)16時15分
カール・ウィルソン

<歌姫セリーヌ・ディオンの新アルバム『カレッジ』はアーティストとしての大胆な挑戦に満ちた意欲作>
セリーヌ・ディオンの新アルバム『カレッジ』が発表された。ディオンにとって通算12枚目の英語歌唱アルバムだが、今回のアルバムには40年近いキャリアで初めてのことが2つある。
1つは、アルバム発表イべントをニューヨークの伝説的なドラァグバー「リップスNYC」で開いたこと。クィア(性的少数者)にも熱烈なファンが多いディオンは、店のドラァグクイーン(女装パフォーマー)たちと大はしゃぎ。カラオケで過去のヒット曲を披露するほどのご機嫌ぶりだったという。
2つ目は、アルバム収録曲で初めて悪態語を使っていること。「パーフェクト・グッドバイ」で、「ディス・シット・イズ・パーフェクト(これって完璧)」と歌っている。
これまでよりもEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)を大胆に取り入れていることも、新アルバムの特徴と言えるだろう。過去にもEDMの影響を感じられる曲はあったが、あくまで控えめに戯れる程度だった。だが今回は、EDMの大御所デービッド・ゲッタを迎えるなど本格的な関心を示している。
これら全てが、ディオンがアーティストとして生まれ変わったことを示している。かつて、伸びやかな声量を生かしてドラマチックなヒット曲を連発した彼女は、オぺラ歌手もどきのポップス歌手と揶揄されることも少なくなかった。だが、今年で51歳を迎えた彼女には、そんな声を気にする気配はない。
大胆な挑戦はファッションにも表れている。ファッション業界にとって年に1度の大パーティーであるMETガラに、ディオンは今年、ほぼ全身がシルバーのフリンジに包まれた衣装で登場。頭にはゴールドに脱色したクジャクの羽根のヘッドピースを着けて、ゴージャスな女王ぶりを印象付けた。

夫の影響から解放されて
実は筆者は12年前の著書で、ディオンをポップカルチャーにおける悪趣味の境地と位置付けた(より正確に言えば、大衆にとてつもなく愛される一方で、一部には徹底的に嫌悪されるアーティストが生まれる現象を分析した)。それだけにディオンの再生は、やや気まずい驚きだったことを認めなくてはならない。
当時のディオンは既にポップスターとしての全盛期を過ぎていたから、筆者が心配したのは、いずれ彼女がほとんど表舞台に出なくなり、新しい読者から何の話か分からないと思われることだった。だが今は、「ディオンが最高でないと思う人のほうがおかしくない?」と未来の読者に思われることを心配している。
ディオンが51歳にして見事な変身を遂げた一番の理由は、2016年の夫ルネ・アンジェリルの死だろう。彼はディオンよりも26歳年上で、彼女が12歳のときマネジャーになり、26歳のときに結婚した(そのうさんくさい感じは、ここでは話題にしない)。
夫を失ったディオンの悲しみは、『カレッジ』(勇気という意味だ)にたっぷり表現されているが、その一方で過去3年間の彼女は明らかに解放されたように見える。当然だろう。それまでで彼女のアーティストとしての選択は、良くも悪くも、ほぼ一世代上の人物によってコントロールされていたのだ。
だからこそ12歳の天才少女は見事に世界的な成功を収めたのかもしれないが、新しい風というよりも、どこか過去の音楽を寄せ集めたような古くささを引きずってもいた。オペラとバーブラ・ストライサンドとエルビス・プレスリー、ティナ・ターナー、マイケル・ジャクソンをミックスしたイメージだ。
ディオンは今もそうした要素を維持しているが、今は彼女自身が自分のボスだ。
本人が複数のインタビューで認めているように、かつて彼女のアルバムやコンサートの制作ミーティングに出席していたのはアンジェリルだけだった。ディオンは上手に歌うことと、観衆を魅了することに集中し、ギャンブル中毒の夫が示すポップス界征服戦略におおむね従っていた。
もちろんディオンの性格を考えると、ビジネス面でも家庭内でも夫に自分の意見を言ったに違いない。だが今は、全てのギャンブルは彼女の判断で行われている。

panda.gif 管理人(ジュカ) - 暗黒騎士(122回)

2019/12/22 (Sun) 21:28

No.3352Re: 生まれ変わったセリーヌ

少女でも老女でもなく
だから今の彼女は、長年のパートナーの死を嘆く一方で、パリ・ファッション・ウイークやMETガラに奇抜な衣装で登場し、屋台のホットドッグにかぶりつき、ドラァグクイーンと大騒ぎできる。
もちろん、その試みの全てが成功しているわけではない。『カレッジ』にも、明らかに失敗作と思える曲がある。例えば「ノーバディーズ・ウォッチング」は、時代遅れの軽いビートとメローなギターをミックスしたサウンドに、「誰も見ていないみたいに踊りたい」とありがちな歌詞をかぶせている。
これらの曲を書いたのはディオンではない。曲作りは、生まれ変わった彼女がまだ挑戦していない重要な分野の1つだ。だが正直言って、挑戦する必要はないのかもしれない。フランク・シナトラも自分で曲を書きはしなかったが、それによって天才エンターテイナーと言う彼の名声が損なわれることは一切ない。
ディオンもまたパフォーマンス志向のアーティストだ。自分で曲を書くのではなく、提供される楽曲の幅を検討し、自分の現在を最もよくファンに理解してもらえると思う曲を選んで、アルバムを製作してきた。
今のディオンは少女でも老女でもない。『カレッジ』が表現するのは、そんな彼女の「今」の心境だ。
リリースから数日がたち、何度かこのアルバムを聴いていると、これは彼女の最高傑作『フォーリング・イントゥ・ユー』(1996年)と同じくらい、最初から最後まで満足できる傑作なのではないかと言う気がしてきた。悪趣味な部分も全て含めて。
©2019 The Slate Group

https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2019/12/post-298.php
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亡き旦那様であったマネージャーのレネさんのセリーヌへの功績は言わずもがな素晴らしいものです。この記事は決してレネさんを否定するものではないということを申し添えます。
レネさんが亡くなって、カレッジ(勇気)を持って新しい音楽性に飛び出したセリーヌを応援したいですね!!!

panda.gif 管理人(ジュカ) - 暗黒騎士(123回)

2019/12/22 (Sun) 21:29